Steel Wheels

Point of no return

Roadster

日本語的にはオープンのスポーティな車という意味で固定されつつある語ですが、語源的には街道向け多目的な乗り物(やや高い速度域にも対応)というところ。

辿っていくと自転車の車種であったり競馬の種目であったり。そして馬車の緩やかな分類であったり。

自動車中心の交通になると自動車のざくっとした分類にも使われ、オートバイにも使われました。

そのまま名称として使われた例とれてはカワサキ750RS、650RSなどなど。

トライアンフTシリーズなどもそうですし、ハーレのスポーツスターシリーズも。

まだ郊外では未舗装路が多く残り峠道は埃っぽくガードレールもない。ツーリング先では途中ダート走行が当たり前の時代。

そういった環境で、できるだけ汎用性を持たせながら趣味性も両立させるべくして各社が作り込んでいったのが60〜70年代のオートバイなんだろうと思います。

ロードスターの語源に合致しますよね。

80年代になってオンロード向けオートバイは舗装路特化の高荷重対応のものになっていきます。交通環境の良化、タイヤとサスペンションの進化などが影響しているでしょうか。ロードスター的なモデルは細々と継続してはいましたがスポーツバイクの本流からは外れます。本流はスーパースポーツ(当時はレーサーレプリカ)とメガスポーツという状況。新車ラッシュと各社の開発競争。凄まじかったですね。2年おきくらいにエンジンが新規設計でモデルチェンジなんて今の世じゃあり得ません。

そんな時に現れたのがゼファー400/550。クラシカルなスタイリングでヒットしました。ありあわせのもので適当に作ったバイクなんていう向きもありましたがなかなかどうしてキチンと作ってるバイクだったと思います。ロードスターとして。

ヒットした要因はスタイリングだけじゃなくて、結局のところ「街道向けの多目的な乗り物」が求められていたというところも小さくないと思います。

その後ネイキッドスポーツという一ジャンルを築き、今に続くネオクラシックにも分化し、オフロードバイクから発展した新時代のロードスターと言うべきアルプスローダーが現れます。

たしかにスーパースポーツは乗っていて楽しいしメガスポーツが可能にする速度域は麻薬そのものです。

しかしその魅力を感じられる域はあまりにも狭すぎる。

では、より広い域で楽しむためには?

乗り物としての本流はこちらであるべきだと思うのです。

 

なんて言いながら自分はそのど真ん中にあるようなバイクをそこからどんどん逸脱させているんですけど。

 

さて自分のKZ1000J。

80年代初頭に一度本流から追われるロードスターの60〜70年代に蓄積されたものの集大成なんだろうと思います。

アップライトなポジション、初代Zシリーズよりも寝かされたフロントフォークとリアサスユニット。

オリジナルはサスの動作がプアーなのは確かですが、なかなかどうして外乱のいなし方などよく練られていると感じさせます。

 

いろんなバイクに乗って散々あちこちいじり倒してきて、楽しめる域が広いということの大事さの端っこがやっと見えてきました